コラム

2012/04/03

設立総会での一幕(茨城・HN)

設立総会での一幕

▼ことし2月、茨城県内の某市で建設業者等を中心とした一般社団法人が設立した。設立主旨は、市内を中心に10年余り続けてきたゴミ拾いなどのボランティア促進。設立総会には、会員約230社をはじめ、市長や市議会、地元県議会議員らが出席。

▼冒頭のあいさつでは代表が「震災によるがれき撤去などで、より活動意義が明確になった」と説明。その一方、現下の厳しい経済情勢でコストばかりを追い求める社会のあり方を危惧し、「人間味あふれる地場産業を育ててほしい」と、行政へ強く訴えた。

▼これに対し来賓の市長は、冒頭、「ボランティアの継続に敬意を表する」と祝辞。だが、徐々に様相を険しくし「ボランティアを仕事を増やす行為として大上段に掲げたら理解されるだろうか」と疑問を呈し「どうか無償の精神で続けて頂きたい」と語尾を強めた。さらに数人の市議会議員も、紹介を前に退席する始末。祝いの席が、一転して緊迫したムードへと変わった。

▼背景には、市議会で一般競争入札の全面導入が可決されたことにある。入札をすべて一般競争にして競争の原理ばかりを追い求めず、地場産業の育成をもっと重要視してほしいとする地元企業の声。そうした声に、全会一致で可決した側の市議会と、それを無視できない立場にある市長は機嫌を損ねたのだろう。

▼市長の言うとおり、ボランティアと受注機会の確保を一色単に考えるべきではないかもしれない。しかし問題なのは、地元企業があいさつの場で市長らに直談判しなければならないほど、切迫した状況に陥っていることではないだろうか。根は深いが、大いに議論する必要がある。(茨城・HN)

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