コラム

2012/04/11

建設業の衰退は国家存亡に(群馬・SN)

建設業の衰退は国家存亡に

▼先日、ある会議の取材で事務局案に対する各委員の意見が、肯定派と否定派に二分してしまい収拾がつかない状態に。そこで会議を取り仕切っていた議長が「建設的な意見をお願いする」と求めた。建設的とは、当たり前のことだが、前向きなことを指す。

▼世の中には、相反する意見なのにどちらも正しいのではないかと思う場合がある。例えば、TPPへの交渉参加をめぐり経済界のほとんどが参加してアジアの成長を取り込めと主張。日本国内で少子高齢化が進む中、自由貿易の拡大に活路を見いだそうという考えは根拠があると感じる。

▼一方で、JAをはじめ農業関連団体は、参加すれば国内農業は壊滅すると訴える。安価な農産物が海外から一気に流れ込む恐れがあり、農家が危機感を強めるのは当然で、この意見にもうなづいてしまう。

▼この2つの主張は相反するものだが、双方とも反論できない面がある。ただ、それに乗じて営利面のみを判断基準にして賛成、反対を決めている人も少なくないように思う。極論的には自社が潤うためなら彼(か)の国へ武器を輸出してもかまわないのと同じ思想だ。「農業」は単なる一産業としてだけでは扱えない面があり、人間生活の根幹を成す「衣食住」の食を担っている最重要産業だ。

▼農業と同様に「住」を担っている建設産業も東日本大震災後に国民から改めてその重要性が再認識された。しかし、その建設業は長く苦境に立たされている。農家ほどの手厚い保護もない。かつての炭坑や繊維産業のように建設業が衰退の一途を辿るようなことがあれば、国の根幹が揺るぎかねない。(群馬・SN)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら