コラム

2012/05/26

イコモスって何(山梨・TH)

イコモスって何

▼最近、山梨県庁内で「イコモス」という言葉を良く耳にする。イコモスとは、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の諮問機関となる非政府組織のこと。実は、8月下旬から、世界遺産候補地の富士山に調査員が現地調査にやってくる。

▼このため、構成資産周辺の景観整備が始まった。忍野村では、忍野八海周辺に着手し、電線の地中化などを通じ電柱を撤去。周辺道路のアスファルトを、風景になじみやすい黄土色の脱色アスファルトに変更したり、県道沿いの茶色い防護柵も茶褐色の富士山麓と調和させた。さらに、吉田口登山道は富士吉田市が登山道沿いにある40カ所の山小屋跡地の検討を始めた。

▼実は富士山を世界遺産に登録しようという運動は1990年代から行われている。当初は世界遺産のうちの自然遺産への登録が検討されたが、ゴミ問題などのため、国は推薦を見送った。現在は、文化遺産への登録手続きが進められている。

▼構成する資産は全部で25カ所あり、山梨県内でも「河口浅間神社」「山中湖」「河口湖」「忍野八海」「山頂の信仰遺跡」隣接する静岡県の「白糸の滝」「三保の松原」などが含まれている。

▼しかし残念なことに富士山は、国際的には世界で最もゴミの多い山と酷評されていることだ。2003年の日本の世界自然遺産の候補地に、知床、小笠原諸島、琉球諸島が選定され、最終的には知床がユネスコに推薦されたが、富士山は候補地にすらならなかった。今回が世界文化遺産登録のラストチャンスのように思える。言い換えれば、イコモスの調査が入るために、集中的な景観整備がなされているという背景だ。(山梨・TH)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら