コラム

2012/10/05

昔の製図と未来の製図(新潟・SS)

昔の製図と未来の製図

▼築50年を迎える小学校の大規模改修工事の取材の際、資料として約50年前に製図された、新築時の設計図面を見た。図面には昭和38年と記入されおり、よく見ると、線には多少のムラがあり、数字や文字も丁寧だが当然手書きである。しかし現在の図面には感じない芸術作品のような趣を感じた。

▼昭和38年ともなると、電卓が普及する前なので、おそらくそろばんをはじきながら、カラス口のペンにインクを付け、1本1本集中しながら製図していたのだろう。いったい1枚の図面を書き上げるのにどの位の時間を要したのだろうか?。製作者の名前を見ながら思いを巡らせた。

▼設計の仕事をする友人によると手書きの作業はほとんど無くなったという。それでは学校で手書き製図の勉強する必要はあるのか尋ねると、CADでは複雑な構造物の取合いや縮尺の感覚が希薄になるので、学生のうちに配置や縮尺を考えながら、1本1本線を引くことは大切だと話していた。

▼CADによる作図は時間を要しない。簡単に修正が出来て、過去の資産を流用できることにある。手書きならば、線が曲がれば書き直し、インクを溢せば最初からやり直しである。CADでは簡単にやり直しが出来るし、一度作図したものは何度も簡単にコピー&ペーストが出来る。

▼美術作品のような手書きの製図が無くなるのは寂しい。現代の製図には更なるスピードが求められるようになるはず。そろばんや計算尺が電卓や関数電卓に進化したように、製図も更なる進化を続けるのだろう。50年後に現在CADで描かれた図面を見た時どんな印象をうけるのだろうか、全く想像が出来ない。(新潟・SS)

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