コラム

2012/10/18

取材も政策もネットから(埼玉・YW)

取材も政策もネットから

▼マスコミ業界で昨今よく指摘されているのは、取材レベルが落ちている―ということだ。例えば、発表される各種資料を有難く思う、人に聞くよりパソコン検索から入るなどの傾向である。

▼役所ではホームページで一斉に掲載します―という方式をさまざまな場で用いる。記者にとって、他社に抜かれる心配はないということを前提とすれば有難いことだが、ジャーナリストの端くれとして、それで安堵すること自体が劣化しているということではないだろうか。

▼実は、事例として適切かどうかはともかく、政治家の命となる政策について、昨今は政策調査プロセスが大きく様変わりしていることを肌で感じる。政策調査で最大の宝庫は国会図書館であり、議会図書室などが前提であると思っている。パソコン普及以前と今日では顕著な違いがある。

▼国会図書館に足を運ぶと、今回自民党総裁選にも立候補した代議士や、10年ほど前の年末に乱を起こした代議士は、足繁く図書館で過去の議事録や専門書を読んでいたそうだ。埼玉県議会図書室に聞くと、県議会議員はめったに来ないそうである。某全国紙で、多少短絡的に思えるが、図書館に足を運ばずどこで政策ネタをつかむのかと揶揄している記事をみかけた。

▼そういった傾向を国会図書館および埼玉県議会図書室に聞くと、情況は単純なことではないと分かる。そもそも議員も政策は、まずはネットで興味あるキーワードを検索するようだ。大切なのは政策だろうと取材だろうと、まず足を運ぶことだ。残念だが現実は、結果として立派な政策立案と読者に響く記事を書けば良いのだろうが。(埼玉・YW)

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