コラム

2012/11/03

残して欲しい宿場町の魅力(山梨・TH)

残して欲しい宿場町の魅力

▼10月19日からの3日間、山梨県北杜市で「台ヶ原宿市(だいがはらしゅくいち)」が開催された。市は今年で10回目となるが、200以上の骨董品やクラフト、農産物を販売する店舗が出店し、賑わいを大いに楽しんだ。

▼台ヶ原宿は、旧甲州街道の宿場町で、国道20号に沿っている。「日本の道100選」にも選定され、周辺には今も本陣、脇本陣、問屋場、旅籠などの面影が残っていた。

▼ここには魅力的な建物がいくつもあるが、その中でも創業300年続く酒蔵に目を奪われた。これは、県指定有形文化財となっている本陣「北原家住宅」だ。嘉永の建築と推定される切り妻屋根の格式高い構えで、訪問者を圧倒する。参勤交代時には大名が宿泊、休息する本陣は、明治天皇巡幸の際も行在所として使用されていたという。耳を澄ますと当時の賑わいが甦ってくる気がする。

▼全国には宿場町が沢山ある。しかし問題点や課題も多い。街道や宿場町の歴史資源や景観資源が姿を消しつつある。それぞれの地域で伝えられてきた歴史、伝統行事や慣習、自然環境など地域独自の文化は、地域や生活の変化に伴い、急速に失っている。ライフスタイルの多様化から維持や後継者を確保することが困難な時代になってしまった。

▼宿場町は、長い年月によって培われてきた個性的な歴史資源。個性豊かな文化は地域に暮らす人達の誇りとも言える。今は日本の情緒を色濃く残す観光スポットになっている。その場所に行き、その当時の面影に触れ、日本の歴史を現在に再現させることも必要だ。ただしここの情緒に合わない店舗の出店だけは止めてほしいものである。(山梨・TH)

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