コラム

2013/01/09

武士道と騎士道(茨城・KS)

武士道と騎士道


▼思えば師も慌てふためく昨年の年の瀬に、思わず感慨深くなった山中伸弥教授のノーベル賞授賞式。

スウェーデン王国での燕尾服の凛々しい姿は、まさに騎士のように崇高であった。受賞後の会見では

?初心?と色紙に書き表し、「研究者を目指した最初の日に戻ってやりたい」と決しておごらない。

この謙虚さは同時に日本文化の武士のようでもある。


▼新渡戸稲造の『武士道』には、「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠実」が徳目として掲

げられている。国際的に活躍していた新渡戸が、外国の文化や宗教に触れた上で、日本固有の精神を

広く紹介するために著した。武士道とは世界に誇るべき日本の心であろう。


▼一方、騎士道については、フランスの学者レオン・ゴーティエ氏が?騎士道十戒?を発表している。

そこには信仰、敬意、愛国心、忠実、正義といったことを重んじる規律が書かれている。


▼昨年のことだが、競馬の第146回天皇賞において、エイシンフラッシュに乗り優勝したイタリア

人騎手のミルコ・デムーロ氏は、ウイニングランの後に下馬し、来賓の天皇皇后両陛下に向かって跪

き、帽子をとって最敬礼した。その美しさといったらこの上なく、礼節の極みを見た気がした。氏は

祖国の次に日本を愛し、先祖が十字軍の騎士団長であるという。


▼武士道と騎士道には実に共通項が多く、礼節と伝統を重んじ品格を大切にする心は同じである。山

中氏はイギリス人のジョン・ガードン博士と共同受賞したが、まさに大和侍と英国騎士の栄えある功

績であろう。年を新たにして、初心そして礼節を忘れてはならないと強く感じている。(茨城・K

S)


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