コラム

2013/01/10

父へ向けた新たな誓い(群馬・AN)

父へ向けた新たな誓い


▼亡き父の夢を見た。プラスチック金型を設計・製造する会社を経営していた父は、夢の中で、汗と

油にまみれながらも少ない社員とともに笑顔で仕事をしていた。10年前に他界した父とは、少しの間

一緒に仕事をしていた。夢に出てきたさまざまな機械類が懐かしい。


▼59歳での旅立ちだったが、それなりの人生を歩んだと思っている。ただ、病床での姿は痛ましかっ

た。最期を迎える前、父の足を触ったら何とも言えない冷たさだった。氷でも鉄でもない冷感だった

ため、今でもその感触を覚えている。共に最期を看取った母も弟も同様に感じたという。


▼金型の製作は、今ではコンピューターを駆使した切削が当たり前となっているが、父はその当時珍

しかったコンピューターによる切削マシーンを購入し、仕事に汗を流していた。ただ最終的な仕上げ

は自身が手作業で調整するなど、ものづくりに対する誇りを持っていた。


▼そんな父は年末の仕事納めの日、必ずノートに何やら書き留めていた。それは1年間の反省ノート

だった。新たな年に旧年の反省を生かすためだという。筆者が知る限り、毎年毎年ノートに綴ってい

て「新たなことに取り組むとしても、反省の上に立たなければ何の意味もない」と言っていた。


▼旧年のことは忘れ、新たな年に新しい目標を掲げることもいいが、旧年の反省を次の年に生かすこ

とも大切だ。新年を迎え、自身は目標に『反省の上での新たな一歩』を掲げた。一歩足りなかったと

ころ、まだまだ足りなかったところを反省し達成を目指す。「頑張れよ」。ふと、笑顔の父に背中を

押されたような気がした。(群馬・AN)


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