コラム

2013/02/23

使用済みテレフォンカード(山梨・TT)

使用済みテレフォンカード


▼休日の散歩中に信号待ちをしていた時のこと。小学生くらいの3人組が公衆電話を囲み、なにやら

話し込んでいる。どうやら、電話を掛けたいが、使い方が分からないようだ。テレホンカード式の公

衆電話が当たり前の時代を過ごした人には、珍しい光景だ。


▼しばらく見ていたが、なかなか解決しないようなので、近づいて「受話器をあげればカードが入る

かも」とアドバイスした。カードがスーッと入る様を見て小学生達は「おお〜!」と感嘆の声を挙げ

た。アナログ人間の筆者が、デジタル時代を駆け抜ける子どもに尊敬の眼差しを向けられた瞬間だっ

た。


▼テレホンカードは、1982年12月に現在のNTTが発行・発売が開始。小銭が不要で、1度数10

円単位で引き落とされるため無駄がなく、長時間通話時にも常に硬貨を投入し続ける必要がなくなり

広く普及した。


▼携帯電話の普及で公衆電話の利用が減少し、公衆電話事業がNTTにとって不採算事業となった。

そして公衆電話そのものが撤去されつつあり、小銭不要で電話がかけられるというカード本来の利便

性も薄れつある。


▼そんな中、使用済みのテレホンカードや切手を施設に送り、収集家に買い取られ、資金が施設の運

営資金に役立てられている。また、携帯電話を持たない施設児童の連絡用にと、家庭などに眠るテレ

ホンカードの寄付を呼びかける団体もあると聞く。細く長く取り組むボランティア活動とカード収集

家。カード式公衆電話が使えない子どもが増え、ヒーローではなくなったが、控えめなロングセラー

商品として存在し続けるカードが脳裏に重なる一瞬だった。(山梨・TT)


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