2013/04/19
閉館間際の映画館で思う(埼玉・TN)
閉館間際の映画館で思う
▼東京銀座にあった?銀座シネパトス?というミニシアターが3月31日で閉館。1967年の開館か
ら45年の歴史に幕を閉じた。1960年代の映画好きの筆者としては寂しい限りだが、やはり、閉館
間際に何か観ておこうと足を運んだ。
▼その日は?銀幕の銀座〜懐かしの風景とスターたち?というテーマで「風速七十五米」と「黒い
潮」の2本立てだった。どちらも、新聞社が出てくる。「風速七十五米」は、高度経済成長期の銀座
における象徴であった屋上のネオンが大型台風で破壊されたらどうなるのか、1959年の伊勢湾台
風をヒントにして作った映画で1963年に封切り。
▼ネオン塔の発注会社、それを請け負う建設会社と、自然の猛威を前にした人間の無力さを訴える新
聞社が絡み合い、最後に「台風による被害は天災でなく人災だ」とし、災害に対しどう向き合うかで、
被害の大きさが変わってくるという結論だった。
▼一方「黒い潮」は、銀座から有楽町にかけてが、かつては新聞社の街であったことがよくわかる映
画。ストーリーは1949年の下山事件を追う某全国紙の記者を描いたもの。ライバル社の多くが?
他殺説?を唱えるなか、あくまで自殺説を最後まで貫き通す新聞記者の姿勢を描いた。
▼新聞社を題材にした映画をいくつも見てきたが、いずれも真実を見極めようとするブレない姿勢を
描いていたと思う。それに対して建設会社は、どちらかというとダーティなイメージに表現されるこ
とが多い。生活に欠かすことのできないインフラ整備などの担い手として永久に必要不可欠なもので
あるのにと、不条理を感じている。(埼玉・TN)