コラム

2013/08/10

先人たちにも誇れるものを(新潟・HT)

先人たちにも誇れるものを


▼あるダムの建設期成同盟会の会長は「我々は、おそらくダムの完成を見届けることはできない」と、

漏らした。ダム事業進捗率約30%、完成までは程遠い。約250億円の全体事業費に対して本年度予

算額がおよそ7000万円と心もとない。ダム本体は未着手、着工時期も未定。完成も10年先、20年

先かの話である。ただ会長は、完成の日を見届けることができないと心残りながらも、将来の完成時

期に向けて、必要性を訴えている。


▼これまで(仮称)上越駅となっていた上越市内の北陸新幹線新駅の名前が先日、『上越妙高駅』に

決まった。残り2年を切った北陸新幹線開業を前に、土木工事の完了、新駅の着工、名前の決定と節

目が続く。今冬には、新幹線の試験走行が予定されているなど、開業に向けカウントダウンが着実に

進んでいる。


▼このまま順調に進捗すれば、われわれは北陸新幹線が県土を走る勇姿をその目に拝むことができそ

うだ。計画の構想段階から完成までを目の当たりにできる人は、非常に幸運なことであろう。


▼今の時代、地方では予算的にも大規模事業を成し遂げるのが困難なときである。計画自体がむなし

く消えていった事業も少なくない。完成を拝み、事業の恩恵を享受できるのは、今の時代に生きる者

の特権であろうか。


▼先のダム事業は、近年の逆風を乗り越え、先人たちの強い思いがあればこそ、継続された事業の一

つである。必要な事業は人々の努力や要望で成り立ち、完成にあり着けるものだ。現代の技術者は、

先人たちの努力に報いるためにも、継続してきちっと誇れるものを造って頂きたいものである。(新

潟・HT)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら