コラム

2013/09/03

職業として必要なもの(茨城・KM)

職業として必要なもの


▼入職者の減少が建設業の大きな課題だが、特に若者の建設業離れが著しい。1992年は25万人だ

った若年入職者(24歳以下)は、09年には5・2万人にまで激減。厚生労働省の資料によると、建設

業における入職後3年以内の離職率(09年3月卒業生)は、製造業の2倍弱になるという。


▼これに伴い、建設業就業者は55歳以上が約33%、29歳以下が約12%と高齢化の進行が顕著。若年入

職者が少ないということは、熟練工から若手へ技能が継承されないまま労働者の減少を意味する。建

設産業存続はもとより、災害対応やインフラの維持・更新にも支障を及ぼす恐れがある。


▼入職者減少には、建設業の賃金の低さや就労環境が大きな影響を与えていると言われる。建設業は

92年の建設投資ピーク以降、投資額の減少に伴いダンピング受注などの競争が激化。採算悪化による

労働者賃金の下落が続き、男性労働者の年間賃金総支給額(12年)は、全産業を約26%(138万1

000円)下回る低さ。


▼子どものころ、重機を見て興奮した経験は誰にでもあるだろう。災害時における業者の奮闘ぶりに

感動し、建設業を志す人もいるだろう。建設業の全てが「地図に残る仕事」という訳ではないが、必

ず「誰かの役に立つ」仕事ではある。


▼本年度の公共工事設計労務単価は、全国平均で約15%上昇した。この上昇が、適正に賃金に反映さ

れ、労働者の処遇が改善されることを願うばかりだ。建設業は間違いなく「やりがい」がある。この

仕事が「やりがい」ではなく「賃金」格差により、職業の選択肢から削除されてしまうのはあまりに

も悲しい。(茨城・KM)


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