コラム

2013/09/21

災害時の任務とは(埼玉・YW)

災害時の任務とは


▼今夏は全国各地で竜巻や局地的豪雨による浸水・土砂災害が、かつてない規模で多発した。北海

道・函館線では360人が車中に閉じ込められ、線路を大雨の中避難する痛ましい光景もあった。


▼災害時には、役所間の所掌業務の垣根を取っ払う行動力も必要となる。こうした場面で忘れてなら

ないのは、東日本大震災での当時の徳山東北地方整備局長(現・国交省道路局長)以下、東北整備局

の活躍である。


▼埼玉県の越谷県土整備事務所の所長室に当時の大畠国交大臣から徳山局長への直々の指示について、

徳山局長が丁寧にメモした貴重かつ臨場感溢れるコピーが貼られている。指示に従い、徳山局長は、

被災地自治体に対して「何でも言ってください」と手紙を出し、後に美談とされた。岩手県のさる市

長は「棺桶がありません、国交省はそれも調達できますか」と聞き、整備局が本来の任務を逸脱し、

調達に走ったということもあった。


▼しかし当時の任務は「すべてイエス」「任務はノーと言わない、どこそこの役所」とは決して言わ

ないことだった。任務の逸脱ではない、まさに役所として役に立つこと、困った人の相談にのるとい

うこと、災害時に行政の垣根は良い意味で取り払い、任務を遂行したのだ。誰も批判する人はいない。


▼昨今の気象は、史上記録にない想定外の現象が頻発している。比例して被災される人も多い。被災

者への救済措置や生活への支援について、法律、縦割り行政の垣根を超えて対処してほしいものであ

る。行政の役割は、災害など困った時こそ敏感に機能し役立つことだろう。国民の切なる願いなのだ

が。(埼玉・YW)


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