コラム

2013/10/24

日常生活を支える人達(長野・EM)

日常生活を支える人達


▼朝晩の冷え込みに驚くことがなくなった。あれほど暑かった夏もいつしか過ぎ、もう半月もすれば

立冬を迎える。季節の移ろいはいや応なく訪れる。強靭な国土を具現化する動きや労務単価の上昇、

さらには東京五輪決定。建設業界も、新たな季節への過渡期にあると信じたい。


▼長野県内の自治体では今冬の除雪作業を担う事業者の選定が始まった。仕事は天候次第の水物だが、

除雪機械はシーズンを通して確保しなければならない。機械貸与や待機補償など、事業者の負担を軽

減する取り組みを講じているところもあるが、「採算度外視のボランティア」といった声は強い。


▼オペレーターは毎晩、翌日の天気をつぶさに調べ、降りそうだとなれば晩酌はおあずけ。夜も明け

ぬうちに出動し、かくして市民の日常生活は保たれる。縁石の有無からマンホールの位置まで頭に叩

き込んだ上での作業と聞けば、道路を使う一市民として頭の下がる思いだ。


▼毎年、地元の除雪作業を担う社長がこんな話しをしてくれた。ある社員が外食に出掛けた時のこと。

隣席から除雪の話題が聞こえてきた。「この前の大雪は大変。どうにもならなかったわ」「本当?こ

の辺りは、街一番の建設業者さんがいつもきれいにしてくれるから安心よ」


▼社員はオペレーターで、嬉々として報告してきたという。常々「除雪ほど良し悪しが分る仕事はな

い。俺達が地域を守るんだ…」と言い聞かしていた社長。「意識は仕事に表れるんだぞ。そう褒めて

やったんだ」。崇高な志を持ったオペレーターが獅子奮迅する姿を垣間見た。それを、当たり前だと

は思う社会であってはならない。(長野・EM)


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