2013/11/09
運動会に込める思い(茨城・NI)
運動会に込める思い
▼筆者の住んでいる地域では、この季節になると毎年、町内別対抗運動会が催される。誰でも参加で
き、あらゆる年代の人が楽しめるためのプログラムが組まれている。
▼楽しめるとは言っても意外に「本気モード」になる。本気で競っているのは、大人だけと言っても
よい。リレーも玉入れ競争も、事前に戦略を打ち合わせ、真剣そのもの。今年は筆者も久しぶりに参
加した。一生懸命走ってみると、結果はどうであれ、なんだかとても清々しく、愉快な気持ちになる。
▼振り返ってみると、子どもの頃に学校の運動会をこれほど心置きなく楽しめていたかというと、そ
うでもない。一番でなくていいのは百も承知でも、全力を出して競走すること自体をどこか恐れてい
たし、そういう恐れに圧倒されていた気がする。大人にしてみれば「たかが」徒競走でも、子どもに
とっては「たかが」と言い切れない。責任が、自分にかかってしまうように感じられるのだ。
▼これまで小学校の運動会場内で「世界に一つだけの花」が流れているのを聞くと、なぜ今ここで
「ナンバーワンにならなくてもいい〜」と唱えなくてはならないのかと不思議に思っていた。でも、
これは「負けてもどうってことないよ」「だから力いっぱい走ってごらん」という、競争に尻込みす
る子どもたちの背中を押してくれる応援歌なのかもしれない。
▼ほんものの、ここ一番の勝負で、一流のアスリートのごとく「楽しみたい」「自分との闘いに勝
つ」などと言うにはまだまだ修行が足りないとしたら、せめて遊びの競争で恐れずに全力を出す感覚
を愉しむのも悪くはないと思う。(茨城・NI)