2013/11/27
気持ちを込めればこそ(群馬・MH)
気持ちを込めればこそ
▼わが家にケンウッド製の古いコンポがある。バブル期とも言える1980年代後半に音楽好きの父
が購入し、数年前に譲り受けたものだ。当時チェッカーズがCMをしていた記憶があり、音楽ファン
の間ではバブルコンポとも言われるそうで、音質も機能も今では考えられないほど充実している
▼今やコンポというと非常にコンパクト。家電量販店で購入しても片手で持ち帰りができるサイズが
多い。当時コンポと名乗るものは非常に大型で、後日配達されるのが当たり前だった。テレビのお持
ち帰りが至極当然の今、家電のスリム化は技術の進化とともに、消費者の心変わりを物語っているの
か
▼ついに先日、コンポのCDプレーヤーが作動しなくなった。古い物だから仕方ないと言ってしまえ
ばそれまでだが、今まで父とともに大切に扱ってきたコンポだけに、何としてでもよみがえらせてや
りたい一心でメンテナンス方法をインターネットで調べ、あらゆる手段を試みた
▼「ものは大切に扱え」と小さいころから両親に教えられてきた。そのかいあってか、なかなか物を
捨てることができない。特に自分が気に入って購入したものは愛着があり、形のあるうちはずっと大
切に持っていたいと思ってしまうのだ。人が製作した機械類へはその思いが強い
▼願いは叶った。CDはスムーズに読み込まれ、スピーカーからは迫力のあるサウンドが響き渡った。
動かないから捨てるという固定概念を持たずに、気持ちを込めることで物は生き返る。これは家庭に
しても仕事にしても、気持ちの込め方次第でその未来は変わる。思わず重ね合わせた。(群馬・MH)