コラム

2013/11/29

改革の目的は現場の改善に(茨城・MK)

改革の目的は現場の改善に


▼国土交通省が本年度、設計労務単価を平均15・1%引き上げ、元請けだけではなく下請け、労働者

の処遇改善を図ろうとしている。この取り組みを見て、ふと江戸時代の名君といわれた上杉<ルビ>鷹

山<ようざん/ルビ>が行った藩政改革を思い出した


▼上杉鷹山は、多額の借金を抱え藩を幕府に返上しようとさえした米沢藩(山形県)を、立て直した。

九州の小大名・日向高鍋藩から、上杉謙信の養子景勝を藩祖とする名門・上杉家に養子として迎えら

れ、17歳で家督を継ぐ。養子であり若すぎるなどのハンディを抱えながら様々な藩政改革を行い、藩

を蘇らせた


▼作家・童門冬二氏の「小説上杉鷹山」は、鷹山がいかに米沢藩を再建したかを描いている。その方

針の一つが「再建の目的は、領民を富ませるためである」。鷹山は倹約すべきところは倹約を行った

が、同時に、当時の経済取引の中心であった米に頼らず、米沢という土地に合っている漆や桑などの

生産を奨励し、それをただ売るのではなく、それらを原料に製品を作りだして付加価値を加え販売し、

収益を上げた


▼さらに、新たな土地を開拓した者からは当面の間、税を取らない。そうすると、自分の所得が増え

ると感じた農民は争って新田を開発し、次第に労働に生き甲斐を感じるようになったという


▼鷹山が取り組んだことは、現場が富めば、回り回って藩を潤すことになるということである。現代

に当てはめれば、建設業の現場で働く人の待遇が改善されれば、その人が働く企業を富ませ、さらに

は業界を、この国の経済の再建につながるということだろう。鷹山が行った改革に学ぶ点は実に多い。

(茨城・MK)

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