2013/12/10
情報は諸刃の剣に(埼玉YW)
情報は諸刃の剣に
▼特定秘密保護法が秋の臨時国会で成立した。役所が保持する情報について、国民の「知る権利」と
「特定機密を保持する」役所側で真っ向対立する場面が想定される。同法によって建設専門紙として
の立場で取材側の危惧することを考え、また1人の記者としてスタンスを考え直す機会と感じる
▼防衛、外交を除いて、役所の情報は原則公開が時代の流れであり、公開の手法もインターネットで
誰もが同時に見られるなど利便性は高まった。確かに専門紙もこれまで以上に取材のネタは集めやす
くなった。入札適正化法施行前、「本当にあの町が法律どおりに公開するだろうか」など危惧する声
があったが、ほぼ期待に近い状態で情報公開が進んでいる。例えば発注見通し、契約後の予定価格と
最低制限価格などである
▼しかし、役所の情報は諸刃の剣になった。都合の良い部分だけ公開し、ある意味建設専門紙は利用
される部分があった。同時に不都合も多い。「発注見通しにもまだ掲載されないもの」「専門紙だけ
になぜ話す必要あるのか、HPに掲載しますから待ってください」との取材拒否に近いものを多々経
験した
▼情報とは、持つ側のさじ加減で拒否と公開両方がうまく操作されうる。今回の特定機密保護法によ
り、国会をはじめ様々な場所で議論されたように、「特定機密の範囲の不明確」「役所の裁量権乱発」
などにより、活動が阻害されると思える
▼4年前、政権交代直後に、ある取材をしたとき「政務3役に聞いてください」と言われたことを思
い出す。これからは1人の記者として情報への接近と記者の顔、力量が試されると感じている。
(埼玉・YW)