コラム

2013/12/12

緊張における緩和の効果(東京・JI)

緊張における緩和の効果


▼国土交通省からは多くの統計が発表され、同時に担当官による説明が記者クラブで行われる。建築

住宅着工統計についての説明会を終えて記事を書いていると、愚妻から携帯に電話があった。少し息

を切らせながら「いま大丈夫?」と深刻な声。まさか子供が事故にでも遭ったのだろうかと一瞬不安

がよぎった


▼その不安はすぐに解消する。「いまユニクロで安いコート見つけたんだけど、緑とベージュのどち

らにするか決められない」。誰もケガをしていないことに安心すると同時に、彼女は極端な優柔不断

であることを再確認した


▼先日、土木学会の橋本鋼太郎会長にインタビューした。土木学会が来年11月に創立100周年を迎

えることについて、こちらの質問に橋本会長は一つひとつ丁寧に回答する。会長の穏やかな表情と話

しぶりは変わらないのだが、堅い質問が続いたために、やや緊張感のある空気が部屋中を満たしてい


▼ところが土木学会の玄関に立つ小さな木製人形「100周年事業広報係長 ドボコン」をスタッフ

が部屋に抱えてくると、ユーモラスな顔をした人形につられて会長も思わず笑う。重い空気は人形の

登場により一変し、そのまま笑顔でインタビューを終えることができた


▼コートの色に悩む愚妻の電話には「緑色が良いのではないか」と返して話を終えた。このあとパソ

コンで記事を書いていると、少しリラックスして肩の力が抜けていることに気付く。電話が、木製人

形の役目を果たしたのだろう。それでも洋服の色ぐらいは自分で決めてほしいものであり、そんな悩

みで電話をかけてほしくないのだが。(東京・JI)

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