コラム

2013/12/14

誰かがやらなければの精神(新潟・KK)

誰かがやらなければの精神


▼2004年に発生した新潟県中越地震は国土の7割を占める中山間地域での未曾有の地震となった。

被災地では震災の爪痕をそのまま情報の保管庫として残す「中越メモリアル回廊」の整備が進み、地

震発生から9年目を迎えた10月23日には旧山古志村(現長岡市)で「やまこし復興交流館」が最後の

拠点施設としてオープンした


▼交流館には緊急避難から仮設住宅での生活を経て村に戻るまでの足跡をまとめた震災の記録と復興

状況が展示され、地形模型シアターでは被災状況や復旧の様子を確認することができる。避難時に住

民のよりどころとなった仮設住宅内の集会所を再現したスペースには実際に使った仮設住宅の壁が一

部利用されている


▼館内で目を引くのが「山は崩れ、道は消えた」「空からの全村避難へ」といった発災からの経過を

表現した文字と当時の写真の数々。村民や関係者の証言も記録されており、なかでも特に印象に残っ

たのが、復旧工事に携わった「誰かがやらなければならない。余震が続き、危険は分かっていたが、

現場には『行け』と指示した」という建設業者の証言だ


▼豪雪地帯の旧山古志村では当初全村避難を行ったが、帰村には何年かかるか分からないと言われて

いた。地震発生翌春の雪解けと同時に本復旧工事が始まったが、早期帰村を可能にしたのは余震、悪

路、厳寒、豪雪といった悪条件を克服した土木技術者の心意気であった


▼3度目の冬を迎えた東日本大震災の被災地では、一日も早い復興へ向けて東北の長く厳しい冬の間

も復旧工事は続く。ここにも「誰かがやらなければ」の技術者精神がある。(新潟・KK)


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