2013/12/19
次善の策を明確に(東京・UT)
次善の策を明確に
▼東京都豊島区が計画している仮称・西部地域複合施設の2015年度開設に遅れが出そうな気配だ。
本年度に入札を2回行ったものの、ともに不調に終わった。区では8月に不調となったことを踏まえ、
再公告の予定価格を約9億円引き上げた。それにも関わらず、11月に行われた2回目の入札でも、企
業の入札金額が予定価格を数億円、上回っていたようだ。異常事態である
▼千葉県流山市。11月6日に開札された市民総合体育館建設工事は、公告の時点で予定価格を事前公
表していたにも関わらず、それを上回る入札金額で2者が応札。2者のうち、より予定価格に近かっ
たフジタを交渉相手とした。予定価格以下となるように協議した結果、予定価格の46億2000万円
(税抜)で合意に達し、11月18日に仮契約(12月議会承認案件)を行った
▼建設業界の多くの関係者が「予定価格は標準価格」と主張し、発注者が決めた厳格な上限拘束性に
問題意識を持っている。ただ豊島区や流山市の例を見れば分かるように、現場レベルでは、机上の議
論を追い越した事象が発生しつつある
▼国土交通省では現在、直轄工事において不落随契を原則廃止とし、談合防止の観点から「真にやむ
を得ない措置」と位置付けている
▼首長からすれば、施設の開設時期が遅れることは、市民サービスの低下にほかならないし、選挙公
約に関わってくるケースも出てくるかもしれない。不落随契は決してベストではない。ただ次善の策、
セカンドベストとして、発注者は不落随契も明確に選択肢の一つとするべきではないだろうか。
物事を前に進める姿勢が問われている。(東京・UT)