コラム

2014/02/22

最近の若者はーと嘆く前に(東京・HM)

最近の若者は―と嘆く前に


▼「最近の若者は」という言い方があるが、なんでも古代エジプトの遺跡からも、そんな表現の書簡

が出ているそうだ。我々人類は、「最近の若者は」と嘆きながら歴史を刻んできたということになる。

では、若者の質は本当に落ち続けているのだろうか


▼若年入職者の確保が建設業界の大きな課題になっている。このままでは技能の継承は難しくなるし、

何よりも今働いている高齢者が退職すれば、現場に人がいなくなってしまう。まずは確保が最優先さ

れるが、最近よく耳にするのは「定着」だ。せっかく入職してもすぐに辞めてしまうケースが多い。

笑い話のようだが、入社して一番最初に教えるのが辞表の書き方という話を聞いた。ある日突然いな

くなることが多いので、それならばきちんと言ってから辞めてくれということだ


▼「何しろちょっと怒るとすぐ辞める」そうだ。帰りたいといって親に電話をしたら、親がちゃんと

迎えに来て帰っていったという話も耳にした。「最近の若者は」と嘆きたくなるのもよく分かる


▼しかし、本当に最近の若者は駄目なのか。必ずしもそうともいいきれない。例えばスマートフォン

に代表されるような通信機器関連には強い。パソコンが常に身近にある環境に育っているので当たり

前のように使える。今後は、現場でもこうした知識が求められるケースも出てくるだろう


▼世代が違えば文化も違う。自分と違うから「最近の」と言いたくなるが、違うということを受け入

れた上で、良さを引き出すような接し方が「定着」につながる。ただ嘆くのではなく、接し方を学ぶ

姿勢が求められているのではなかろうか。(東京・HM)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら