2014/03/06
緑の舗装が訴えているもの(新潟・TH)
緑の舗装が訴えているもの
▼新潟県交通安全施設業協会と新潟市道路保全協会は県内の通学路に「こどもを守ろうプロジェクト」
名でカラー舗装の施工寄贈を毎年続けている。社会貢献活動の一環であり、今年、施工を寄贈した箇
所は車がすれ違えないほど狭い住宅街の中にある通学路だった
▼施工を担当した業者は「本当は歩道を付けられれば、もっと安全なんだけどね」と言う。確かに、
車道と歩道を縁石や段差で分離した方が安全性が向上するのは間違いない
▼しかし、施工寄贈後の白いラインと緑で彩られた路肩は、歩行者にもドライバーにとっても、そこ
が歩道であることが一目瞭然となった。カラー舗装があると無いとではだいぶ違う。歩道の設置を待
たずとも、今できる対策が確実に道路の安全性を向上させている
▼仮に、抜本的な安全対策として歩道の設置をする場合、一体どれだけの時間と経費がかかるだろう
か。設計・施工はもとより、先に述べたように、車もすれ違えない住宅街には、そもそも歩道を設置
するスペースが無く、周囲が住宅であるため、多額の補償が必要となる。つまり、どんなに危険とわ
かっていても、歩道の設置自体が不可能である。おそらく同様の問題を抱える場所は、日本全国に数
多くあり、順番待ちが何年も続いていよう
▼度重なる自然災害などから、あらためて『安全』について見直されているものの、抜本的な対策に
まではつながっていないのが現状だ。また、対策への予算付けも十分とは言い難い。「ただ、まずは
出来ることから」。それだけでも、国土の安全性は向上するのではないか。緑の舗装が、そう訴えて
いる気がした。(新潟・TH)