コラム

2014/03/28

川さかのぼる若者育てよ(群馬・MY)

川さかのぼる若者育てよ


▼国土交通省渡良瀬川河川事務所が担当する河川改良工事の現場を見学した際、サケの遡上が話題に

なった。現場代理人によると「昨年11月ころに数匹が群れで泳ぐ姿を見かけ、数日後、白くなった死

魚が上流から流れてきました」。河口から遡上すること約150?、役目を果たして力尽きたようす

を想像し、寒空を忘れ胸を熱くした


▼群馬県千代田町と埼玉県行田市の境にある利根大堰の魚道では、水資源機構がサケの遡上状況を観

測している。昨秋3カ月間に通過したサケの数は1万8696匹に達し、3年連続で過去最高記録を

更新中だ。群馬県では、市民団体や自治体が協力し合い、サケの稚魚を放流する事業を1980年代

から続け、今も毎年2万匹を放つ。同時に実施する河川環境の改善など、多くの小さな事業の成果が

実り始めたともいえよう


▼建設業界では、官民ともに若手技術者が極端に少ない状況にあり、技術の継承や災害時の対応に危

機感が高まっている。ある県幹部は「技術系職員の年齢別構成は逆三角形。10年経っても後輩が配属

されず、ずっと係の末席にいるような例もある。これでは、より高度な仕事へのステップが踏めない」

と危惧する


▼焦りを共有した官民はスクラムを組み、学生向けの情報発信に努める。従来の課外授業やインター

ンシップの強化に加え、パンフレットやホームページなどを通じ、建設業の魅力を伝えようと知恵を

絞っている


▼10年前、利根川を遡上するサケは1500匹しかいなかった。それが今や12倍。建設業に触れた稚

魚が大海を巡り、再び建設業の川をのぼるには、地道な活動の継続しかない。(群馬・MY)


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