コラム

2014/07/24

無電柱化後の街並みとは(群馬・MY)

無電柱化後の街並みとは


▼文字通り肌を焼くような、厳しい日差しが降り注ぐ夏の前橋市。車内のエアコンを強め、夕立でも

来ないかなと天を仰ぐ日々だ。ふと交差点の歩道に目をやると、自転車に乗った高校生が、電柱のわ

ずかな日陰に隠れるように信号待ちをしていた


▼この電柱の新設を中止する「無電柱化基本法」の制定を自民党は考えているらしい。全国に約35

00万本の電柱が立ち、空を見上げれば無数の電線が走る光景は長く見慣れてしまってるが、防災や

景観などの面から電線共同溝の整備推進を図るという


▼無電柱された市街地では、生き生きとした街路樹の姿を見ることができる。「水と緑と詩のまち」

をうたう前橋市にとって、前橋駅北口から県庁まで続くケヤキの並木道こそ、街の顔だ。無電柱化済

みの並木道は、四季折々の美しい街並みを映す市民自慢のスポットである


▼ところが、ある道路管理者に聞くと、道路に街路樹を新設する際の地元要望ではハナミズキが人気

と言う。きれいな花が咲きあまり大きくならないところが好まれ、「紋切り型だが最も無難」との評

価。一方、紅葉が美しいケヤキや、あざやかに黄葉するイチョウなどは、大量の落ち葉が悩みのタネ

であり、「落ち葉がたまれば管理が行き届いていないと怒られ、初秋にせん定すれば紅葉を楽しみに

していたと嘆かれる」と板挟みらしい


▼「みどりに深き手を泳がせ 涼しきところに歯をかくせ」と詠んだのは、前橋生まれの詩人・萩原

朔太郎。木々は生長し、枝や葉は落ちる。手間はかかるが、酷暑を避けようとする通行者に安らぎを

与える木陰の清涼こそ、優しいまちづくりなのではないだろうか。(群馬・MY)


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