コラム

2014/09/02

ダム事業検証に思う(水戸・EM)

ダム事業検証に思う


▼当時の民主党政権によるダム事業見直しを受けて2010年度以降工事を中断していた霞ヶ浦導水事業(茨城県)について、国土交通省はこのほど、事業の継続を決めた。事業費ベースの進捗率は約78%で、残事業費は440億円と見込まれている


▼本事業は、那珂川下流部、霞ヶ浦、利根川下流部をつなぐ2カ所計45・6㎞の地下導水トンネルを建設するもの。霞ヶ浦の水質浄化、流水の正常な機能維持、さらには県内のみならず東京、千葉、埼玉の都市用水確保を目的に、1984年度事業着手。利根導水路2・6㎞は供用済みで、那珂導水路は全体43㎞のうち14・2㎞が完成している。総事業費は1932億円


▼検証作業では、水質浄化、流水機能維持、新規利水それぞれの対策について現行案以外に複数案を立案。コストや実現性など様々な角度から評価した結果、いずれも現行案が有利との結果に至った


▼10年9月、ダム事業の検証対象とされたのは本事業を含め直轄25事業、水資源機構5事業、補助53事業。民主党政権公約で、公共事業見直しの象徴として掲げられた八ツ場ダム建設(群馬県)は、検証結果を踏まえ、11年12月に工事再開が決定。時の国土交通大臣が就任会見の場で中止を宣言してから5年の歳月を経て、先月、本体工事の落札者が決定した


▼社会・経済情勢が変わり行く中、とりわけ事業期間が長期に及ぶ大型プロジェクトは、節目をとらえてその効果や手法を検証する必要があるだろう。ただし、民主党政権下のような十把一絡(じっぱひとから)げの対応はいかがか。霞ヶ浦導水事業では、検証による工期遅延影響額が38億9000万円に上るという。(茨城・EM)


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