コラム

2014/09/17

脱デフレへの歩み(群馬・MY)

脱デフレへの歩み


▼「失われた20年」と言われ続けてきた日本。この景気後退は、物価が下落し続けるデフレ不況と呼ばれてきた。モノもヒトも、より安く済ませようと流れてきた時代だった


▼ところがここへ来て「デフレ下の勝ち組」と呼ばれた外食産業が、著しい人手不足に見舞われている。トップを走ってきた企業は、現場を担ってきた学生や主婦などのパート社員を確保できず、営業を継続できない店舗を閉鎖する事態に陥った


▼公共工事に目を移すと、ことしも主に大型建築の入札で、予定価格超過の不調案件が全国的に散見される。建築業のある団体で「発注者が長いデフレ経済に慣れてしまい、現在の景気状況、人材や資機材の不足を十分に理解していない」という声を耳にした。余談だが、再入札に至ったものの完成期限を変えず、より一層短い工期を求めるケースもあると聞く


▼人材確保に追われる地場の建設会社の経営幹部は「募集のために条件を検討したら、現在いる社員の給与を見直す必要が出てきた」と話す。募集対象と同じ資格を持ち同じ仕事をこなす社員の賃金が低ければ、離職を招く要因になる。雇用維持に向け、依然厳しい地方の建設業でも、給与水準を引き上げる決断が求められている


▼製造業や運送業が集積し、設備投資が相次いでいる群馬県太田市。ある施主は「工場建設費の見積もりをお願いしたら、計画当初より3割も高かった。それでも遅くなるほど高騰する見通しだと言われ、この時期の着工に踏み切った」と明かす。20年の束縛を振り切るために、各所が痛みを感じている。どこか一方がそれに甘えてはいけない。(群馬・MY)


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