コラム

2014/11/12

科学の楽しさを知る(群馬・UT)

科学の楽しさを知る


▼ことしのノーベル賞は物理学賞で日本人3人(うち1人はアメリカ国籍)が青色LEDの開発により受賞となった。この開発により、光の三原色がそろい、電灯などさまざまな用途で使うことのできる白い光を出せるようになったというのが受賞理由だ。これまで受賞した成果を見ると、研究名だけでは、どんな研究なのかが分からないものが多い中、今回はとても身近な研究が受賞となったようだ


▼その一方で、わかりやすくおもしろい研究のみを取り上げた賞もある。それが、ノーベル賞のパロディであるイグノーベル賞だ。イグ賞は「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」をたたえるものとして1991年に創立。一例を挙げると、2013年度にハウス食品がタマネギを切ると涙が出る原因物質を特定したということで受賞している


▼日本人はユーモアがないなどと言われがちだが、イグ賞においては累計20部門で受賞しており、すっかり常連だ。もちろん本年度も受賞しており、北里大学の研究グループがバナナの皮を踏んだ際の滑りやすさの研究が受賞となった。この研究が将来的には人工関節をなめらかに動かすための基礎となり、将来性があることに驚かされる


▼このイグ賞が何よりおもしろいのは、身近なものが研究の素材とされ、成果がでている点だ。普段はまったく科学分野に触れない人々でも、たまねぎの涙、バナナの皮の滑りやすさは、すぐ身近にあることで興味を持ちやすい


▼理系離れが進む昨今、ノーベル賞のような大きな結果を求めるだけではなく、将来性もあり、科学の楽しさを伝えるには格好の研究といえる。(群馬・UT)


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