コラム

2014/12/10

がんばれ、新人鉄筋工(茨城・EM)

がんばれ、新人鉄筋工


▼清々(すがすが)しい気持ちになった。特集企画で、ある女性鉄筋工を取材した。彼女は今春高校を卒業した19歳。「建物が出来上がった姿を見た時に、この仕事に就けて良かったって感じるんです。埋まった鉄筋を見ることはできないけれど、基礎という一番大事な部分に私が携わっている。これって、すごくないですか」


▼彼女が建設業を志したのは、瓦職人の父親の影響。「建設業を身近に感じる中で、大きな仕事が出来るっていいな、建物づくりに携わりたいっていう憧れがありました」


▼強い思いの一方で、就職活動には難しさがあったという。「私が通っていたのは普通科で、建設業の求人は皆無。両親は賛成してくれたけれど、先生や友達からは『本当に大丈夫?』『やめておきなよ』といった声もありました」。父親の職場に勤めることも考えたが、「福利厚生がしっかりした所がいい」とアドバイスを受け、冬の合同面接会で今の職場を選択。同社は前年も女性技能者を採用しており、「彼女がいたことも決め手の一つでした」


▼初めは鉄筋のつなぎにも苦労したというが、「出来なかった頃に一緒だった業者さんと再会した時、私の親方に『あの子、出来るようになったな』って言っているのを聞いて、成長しているんだなって嬉しくなりました」


▼「同期の子と、いつかお互い親方になれたらすごいよねって話しているんです」。言葉の端々からあふれる前向きな姿勢。取材時の懐っこい笑顔から一転、作業で見せた厳しい表情にも好感を持った。性別を問わず、そして普通高校にも志を持つ若者はいる。光明を見せてくれた彼女に、心からエールを送りたい。(茨城・EM)


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