コラム

2015/01/15

人手不足は解決するのか(新潟・SS)

人手不足は解決するのか


▼3月の北陸新幹線開業を控え、通過駅となる上越妙高駅や糸魚川駅の駅舎は工事足場が撤去され、開業間近を感じさせる反面、周辺道路にはまだ多くの工事看板が残され、現場の慌しさが感じられる


▼昨年10月に50周年を迎えた東海道新幹線は、東京オリンピックの開催に合わせ約4年4カ月の突貫工事で1964年1月に完了した。昼夜を問わない必死の作業でなんとかオリンピックに間に合わせたが、突貫工事によるひずみからか、開業後にトンネルや軌道など多くの補修工事が必要となった


▼静岡県湖西市にある「東海道新幹線殉職者慰霊碑」には210人の名前が刻まれている。世紀の難工事と呼ばれた黒部ダムの殉職者が7年で171人だったことに比べれば、新幹線工事の殉職者の多さが分かる。建設作業に従事した人の多くは地方からの出稼ぎ労働者が多かったようだ


▼2020年開催の東京オリンピックに向けて政府は電柱の地中化方針を決めた。電線地中化は景観のほか、避難路確保という災害面からもメリットがあるが、市街地の電線地中化では、煩雑な調査や試掘が必要となるため、オリンピックまでの期間を考えると悠長にはしていられない


▼政府は東京オリンピックでは、外国人労働者を幅広く受け入れることを検討している。安い賃金目的のみで外国人労働者を受け入れるのであれば、昔と考え方は変わらない。不足が予想されるのは、型枠や鉄筋工などの専門職なため、外国人労働者を即戦力として使うのは難しいはず。専門的技術の伝承を図るうえでも、建設業からの離職対策や環境改善を図らなければ人手不足は解決しない。(新潟・SS)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら