コラム

2015/03/06

海底に積もるもう一つの雪(東京・KK)

海底に積もるもう一つの雪


▼国産エネルギー資源の開発が重要な課題となるなか、天然ガスの一種で「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートが日本近海に相当量存在するとされ、国内外から注目を集めている


▼昨年末には新潟県上越沖の日本海で、世界に先駆けて表層型メタンハイドレートの本格的なサンプル採取に成功した。太平洋側の東部南海トラフのメタンハイドレートが海底面から、さらに数百mの深さに存在するのに対し、日本海のメタンハイドレートは海底付近に存在するため、本格的な開発機運が高まっている


▼安倍総理は今国会の施政方針演説で「日本は資源に乏しい国である。そんな常識は2020年には、もはや非常識になっているかもしれません」と述べ、国産の海洋エネルギー開発の実現に大きな期待を寄せている


▼ある研究者はメタンハイドレート採掘後の実験炉を日本海側の各地域につくれば世界中の研究者や観光客が集まると指摘。地域振興の観点からも有効な手段との考えを示している。また、日本海沿岸の10府県で構成する「海洋エネルギー資源開発促進日本海連合」では採掘技術のアイデアを中学・高校生も含め広く募集しており、自由な発想による新エネルギーの開発に夢が膨らむ


▼海底のメタンハイドレートはメタンと水が結合して氷状に結晶化したもので、見た目は雪や氷のようだが、採掘直後に点火すると青白い炎を上げて燃える。国内有数の降雪量を誇る上越地域の、さらに沖合の海の中にも雪が積もっていることは非常に興味深い。海の底に降り積もったもう一つの雪は近い将来「燃える氷」として日本再生ののろしになることだろう。(東京・KK)


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