コラム

2015/04/11

子供にゃわかるまい(新潟・HT)

子供にゃわかるまい


▼新潟市内に存在する歴史的建造物を耐震補強するというので、担当課をたずねた。いろいろと伺ううちに、こちらが建造物の詳細を知らないことを見透かされ、「まずは行ってみてください」と言われた。会社からも近く、実際に行って見たところ、あきらかに日常とは一線を画すたたずまいに感銘を受けて、時間の許す限り施設を見て回った


▼小中学生の時には社会科見学などで、この種の施設を訪れたことはあったが、正直その当時は一切、心に響かなかった。尾崎豊風に言えば、校舎や教室という「おり」から解放されたのに、外に出てまで歴史の勉強しろ、というのかと考えていた。小中学生に歴史のロマンや魅力を感じろといっても、釈迦(しゃか)に説法である


▼大人になると味覚が変わるというが、ピーマンやニンジンが食べられる、ビールやコーヒーなど苦いものが好きになることは、舌の味を感じる味蕾(ミライ)という部分の成長によるものだそうだ


▼自宅の近くには、春になると蒸気機関車の走る姿を拝める場所がある。鉄道ファンにとっては、有名な撮影スポットらしく、天気の良い日には、多くのカメラマンが三脚を立てる。ただカメラを構える姿はほとんどが、いい大人である


▼習い事やスポーツなど、何事も若いうちから始めた方が上達も早いと聞くが、人の感性は、大人と子供では大きく違う。経験則による部分は大きいが、「最近、涙もろくなった」や「昔は感じなかった歴史的建造物に魅力を感じた」などは、心の味蕾の変化によるものかもしれない。物事の本当の面白さが分かるのは、経験を積んだ大人の特権ということである。(新潟・HT)


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