コラム

2015/04/16

和食に見る日本の力(山梨・HK)

和食に見る日本の力


▼我々の先人が築きあげ、今日まで受け継がれてきた日本の伝統は、文化・娯楽を含めた行事であり、日々の生活に根差した技術であり、今や人々の暮らしに息づいている。そんななか「和食」が2013年12月にユネスコ無形文化遺産登録に決定した


▼農林水産省のホームページには「和食」の特徴として①多様な新鮮な食材とその持ち味の尊重②バランスに優れた健康的な食生活③自然の美しさや季節の移ろいの表現④正月などの年中行事との密接な関わり―が記されている。健康ブームが叫ばれるなか注目されていたが、相手を敬い尊ぶ心、自然の美しさに加え、生活との結びつきの深さが価値を重くしてくれたようだ


▼特徴のひとつである素材の新鮮さ。四方を海に囲まれ海産物には事欠かず、さりとて裏には急峻な峰々が連なり山菜・果実も豊富。輸送や保存手段の発達で、中山間地でも刺身は美味しく味わえる。しかし、世間は地産地消の時代である


▼人口減少、少子高齢化、担い手不足で瀬戸際に追いやられている農村・漁村は数知れない。なぜその土地の名産なのか、なぜその港で水揚げが多いのか。それはそれなりの理由があってのこと。四季折々移り変わる自然と、その土地で代々生活をしてきた人々が連綿とつむぎ出してきた「食」が、見直されるべきときが来たのではないだろうか


▼継手や仕口の技術により、釘やネジの類を使わず住居を立ち上げる「木組み」。湿気が多く地震にも見舞われる日本の風土に適合する木造住宅。素材である木材の良さを生かすところは、「和食」の心にも通じる日本の面目躍如といったところか。(山梨・HK)


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