コラム

2015/06/02

新たなシンボルとして(茨城・HS)

新たなシンボルとして


▼さまざまなスポーツでいくつものドラマを生み出した国立競技場。2020年東京五輪の開催に向け、解体工事がほぼ完了した。今後は8万人収容の新国立競技場となるため、建設工事が進められていくことになる。国際設計競技で最優秀賞に選ばれたのは、自転車のヘルメットのような独創的なデザインだった


▼総工費は約1700億円、運営費だけでも年間40億円と言われる。その膨大な費用は批判の的となっていた。そこへ、ある民間会社が建築費を約950億円に抑制する計画案を提示した


▼それは5万5000人分の座席を仮設席とし、五輪終了後に野球、あるいはサッカーの専用スタジアムとして、5万人規模に改修する、というものだ。1996年のアトランタ五輪がモデルとされ、実現は可能らしい。稼働率を向上させることで、建築費の回収もできると見込んでいる


▼そこで下村文部科学大臣は、1万5000席を仮設化し、開閉式屋根を五輪後に設置するという考えを表明した。また、東京都の舛添知事にも整備費用の負担を求めるなど、当初の計画からはずいぶん様変わりしてきている。現行案での着工予定は10月。予断を許さない状況にある


▼運営側から見れば、建築費の削減は魅力的だ。しかし、結論を焦って見切り発車してしまっては、取り返しのつかない自体に陥る可能性もある。昨年5月に公表された基本設計には「国家プロジェクトとして、世界に誇れ、世界が憧れる次世代型スタジアムを目指す」とある。日本スポーツ界の新たなシンボルとなる施設だけに、ベストな答えが導き出されることを期待したい。(茨城・HS)


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