コラム

2015/09/17

身近に技術継承の場を(前橋・OS)

身近に技術継承の場を


▼近所で子ども向けの木工クラフト教室が開かれた。地元の建設業者らが企画したイベントで、小学生たちが集まり、廃材をつなぎ合わせ、思い思いの作品を作った。木材を手にキャッキャとはしゃぐ子、真剣な顔で作業に集中する子。どうしていいか分からず立ち尽くす子。反応はいろいろだが、大人の手を借りながら、ものづくりに励んだ


▼できあがった作品を見ると、ペンケースや小物入れ、小さな家、汽車のようなおもちゃもあった。戸惑っていた子も、できあがった作品を見てうれしそうに笑う。不思議なのは、子ども以上に教える側の大人が楽しそうだったことだ。ものをつくることも、それを継承することも、本来楽しいことなのだろう


▼群馬県内に建設業の職人を育てる学校ができることになった。職人育成のノウハウを持つ業者らが中心となり、国や地元自治体の協力を仰ぎながら、来春の開校を目指している。計画について話し合う会合で「建設業に興味がある人はいる。ただ、技術を習う場所がないだけ」との意見が出た


▼ただでさえ、きつい・汚い・危険の3Kのイメージ。いきなり現場に飛び込むには、いささかハードルの高さを感じるのも無理はない。厳しい職人の世界、とりあえず現場に出て、屈強で怖そうな監督に怒られながら習うのも一つの考えとしてあるだろう


▼ただ、多くの人を呼び込むには、それでは難しいのも事実。技術や心構え、体づくり、そして最も大切な「ものづくりの楽しさ」を覚えてから現場に臨んでも決して遅くはない。ときに後世に残る建造物に携わる仕事。もっと身近に技術を継承する場が増えて欲しい。(前橋・OS)


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