コラム

2015/09/19

資金と要望で事業の推進を(山梨・MK)

資金と要望で事業の推進を


▼JR中央線の高速化を目指す沿線自治体などによる期成同盟会が、甲府市内で開かれ、流通経済大学の板谷和也准教授は「鉄道路線高速化に必要なこと」と題した講演を行った。板谷氏は、高速化実現に最も大事なことは地方自治体が鉄道事業者へ要望して事業者に全てを任せるのではなく、資金支援や鉄道利用者の増加策であると強調


▼講演では鉄道の高速化が実現した例として、山形新幹線(福島~山形間)や秋田新幹線(盛岡~秋田間)、山陰本線(米子~益田間)を紹介。山形新幹線では、県や市がJRと共に出資して鉄道車両を保有する会社を設立。車両などをJRへ貸し付けることで、JR単独事業による不採算を回避できた。秋田新幹線では、出資のほかに保有車両の固定資産税を出資会社が納めるなどの支援を行った。山陰本線では、事業費の負担や車両費の無利子貸し付けを行い、高速化を実現させたと解説した


▼また板谷氏は、鉄道利用者を増やすための対策も有効と指摘。地元による駅前広場改良や接続するバス交通の再編、駅を中心として商業の充実などを挙げた


▼肝心かなめなことは、鉄道の高速化は地元にとって必要な事業であり、資金を提供し、要望も行って実現にこぎつけること。自治体は「鉄道はきわめて重要で、今後も大いに活用したい」という姿勢を明確に示す計画を策定し、地域住民も公共交通機関を使うライフスタイルにすることが必須と説いた


▼地方創生が叫ばれる昨今。人口減少を抑えるためにも公共交通機関の充実は欠かせない。「お金も出し、要望もする」という方法で、地元に必要な事業は進めるべきだろう。(山梨・MK)


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