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見えない部分の品質(新潟・SS) 2015/11/28
見えない部分の品質
▼新潟県上越市では2019年完成に向け県立武道館の建設計画が進んでいる。柔剣道場のほか、県内初となる60mの遠い的を狙う弓道の遠的施設も整備する
▼アップルの創業者スティーブ・ジョブスの本棚には「弓と禅」という本があった。ドイツ人哲学者、オイゲン・ヘリゲルが戦前の日本で、禅と弓道の一致を説く、弓聖阿波研造という弓道家のもとでの修業体験を記したもので、論理的な技術指導を期待する外国人哲学者が「腕の力で、弓をひくな。心で引け」や「的を見るな、狙うな」という、禅問答のような師の教えに苦悩する様が記されている
▼禅の一派である曹洞宗の開祖・道元の言葉に「実徳を蔵、外相を荘(内面をよくして外面を飾らない)」というのがある。製品の外装だけでなく、内部にまで美しさを求めたジョブスが、内部をのぞく人はいないと言うエンジニアに「偉大な大工は、見えなくてもキャビネットの後ろにちゃちな木材を使わない」と語り、配線や基盤をよりシンプルで魅力的に配置するよう要求したのは、道元の教えと共通するものがある
▼現在、問題になっているマンションの基礎杭をはじめ梁や柱など、建築構造物の多くは将来見えなくなる。「見えない部分を作りこむことが本当の品質」だと、ジョブスや道元のような現場担当者もいるはずだが、コストや工期に追われればそれどころではない
▼建物が傾いてからでは遅すぎる。見えない部分こそ丁寧な監理が重要で、たとえ民間建築であっても、形骸化した書類の確認で済ませるのではなく、官公庁発注の工事同様に工程に合せた確認・検査が必要だと思う。(新潟・SS)
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