コラム

2015/12/09

求められる情報の正確性(群馬・YT)

求められる情報の正確性


▼すっかり定着した感のあるインターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」。情報の正確性や偏り、責任の所在などの問題点が指摘されているが、手軽さや情報量から多くの人から利用され続けている


▼2012年に、英語版のウィキペディアで、ある事件が起きていたのをご存じだろうか。その事件は『ビコリム戦争』という全く存在しない歴史上の戦争が、5年間にわたり掲載されつづけたというもの。記事は、インド北部を舞台にポルトガルとマラータ王国の間で1640年から1641年にかけて起きた戦争が内容だ


▼たまたま記事を見た利用者が丁寧に調べた結果、歴史的事実ではないことが指摘されたことで発覚したという。この記事は、「器用かつ手間のかかった悪ふざけ」と判断されて削除され、現在はこういった問題があったという事実のみが記されている


▼ただ、この「器用かつ手間のかかった悪ふざけ」は、特にインターネット上では避けて通れない問題であるようだ。これまでもウィキペディアだけでなく、さまざまな場面で「悪ふざけ」によって、「手軽に手に入れられる情報を過信しすぎるな」という問題提起が展開されている。問題提起や悪ふざけだけで終わればよいが、病気や財産など、生活に関する間違った情報が悪意や善意の有無にかかわらず発信されているのもまた事実である


▼情報が手軽に入手できるようになった時代。言い換えれば情報の正しさを自分で判断しなければいけない時代になったということだろう。情報を発信する側に立つものとして、信頼される発信者で有り続ける責務を忘れてはならない。(群馬・YT)


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