コラム

2016/01/19

手間かけて、想い巡らす(茨城・KN)

手間かけて、思い巡らす


▼年末に、久しぶりに年賀状を書いた。ここ最近「来た人に返す」だけで、メールで済ませることも多かったが昨年は、お世話になった人やこれからお世話になる人との出会いを考え、きちっと元旦に届くように年賀状を送るべきと思い立つ


▼初めて年賀状を出したのはいくつの時だったろうか。小学校の中学年くらいだったろうか。住所を聞いて回り、覚えたての漢字で宛名を書いて友達に送るのが妙に嬉しかった記憶がある。物心つく頃にはメールやSNSで気軽にやりとりができた、今の若者にはこんな気持ちは無縁だろうか


▼ソフトブレーン・フィールド㈱の調査では年賀状を出すと答えた割合は20代が全世代で最も低い52・3%。しかし、「手書きで送る」と答えた割合は、20代が67%で最も高かった。メールやSNSでのやりとりが多い世代だからこそ「どうせ出すなら手書きで」という気持ちが働くようだ


▼触発されたわけではないが、私も手書きに挑戦した。あまり字がうまくないので緊張する。宛名を書き間違えたら、この上なく失礼だし、間違いがなくても下手な字を見られるのは恥ずかしい。書き損じたら52円が無駄になる。丁寧に、慎重に文字を紡ぐ。結構な手間がかかってしまう


▼一文字一文字書きながら、ふと送り先に対し思いを巡らす。「元気だろうか」「最近連絡とっていないな」など。いつもは目の前の仕事を片付けるだけで精一杯だが、年の終わりにふと立ち止まり、誰かのことを思い巡らす時間があるのは悪くない気分だった。ただ、手間をかけた分、投函がギリギリになってしまった。元日に届いたかどうかが気がかりだ。(茨城・KN)


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