コラム

2016/02/25

平和的な技術発展(埼玉・HK)

平和的な技術発展


▼戦火から逃げ惑う人々、血を流す子どもたち。戦争の様子を見聞きするたびに、やるせない気持ちが押し寄せる。第二次世界大戦から70年以上も経過したが、世界のどこかで戦争がなくなる気配は感じられない。中東では有志連合やロシアが、世界各地におけるテロ行為の報復として、過激派組織イスラム国の拠点を幾度も爆撃。また、日本と海を隔て隣り合う北朝鮮はミサイルの発射実験・核実験を繰り返している


▼軍事技術は敵対する者を脅かすため、そして制圧するために存在する。戦争は忌み憎むべきものだが、一方で、軍需産業において切磋琢磨された技術は日常生活に無関係ではなく、恩恵も受けている。例えば、インターネットや携帯電話は現代の利便性を象徴するものだが、いずれも軍事技術から民生転用している


▼軍需企業が優れた技術力を生かし、民生品の製造を中心とした業態に転換した例がある。世界に名だたる光学機器メーカーとなったニコンは、かつて光学兵器の国産化を目指して日本光學工業として設立された。狙撃銃の照準器などに加え、戦艦大和に搭載された測距儀も製造した


▼この会社のカメラは世界中に愛好者を生み出し続けている。その照準は敵の兵士・兵器よりも、平穏な日常、そして戦争が生み出す悲惨さ、残忍さ、愚かさ、むなしさを捉えるようになった


▼軍事技術の民生転用に成功した企業のように、人類は戦乱の世に生まれた民生技術を平和的に利用している。そして、平和への道を歩んでいるならば、世界の誰もが血を流すことのない競争によって、技術は発展しなければならない。(埼玉・HK)


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