コラム

2016/04/05

新たな減災対策始まる(水戸・EM)

新たな減災対策始まる


▼昨年9月に発生した関東・東北豪雨災害から半年が過ぎた。鬼怒川の堤防決壊により、広範囲に及ぶ浸水被害が発生。多くの死傷者を出すとともに、逃げ遅れた住民がヘリコプターで救助される事態が続出した


▼未曾有の災害を受けて行政は動いた。昨年12月、国、茨城県、沿川7市町が共同で「鬼怒川緊急対策プロジェクト」の実施を発表。2020年度までに約600億円を投じ、堤防整備などのハード対策を行う。さらに国は同月、水防災意識社会の再構築に取り組むことも宣言した


▼再構築のビジョンでは、従来の堤防整備や河道掘削に加え氾濫が発生した場合にも被害を軽減する「危機管理型対策」を導入。堤防の天端をアスファルトで保護したり、堤防裏法尻をブロックで補強するなどの事業を、国が管理する全ての河川で20年度をめどに実施する。さらに、目標を共有し対策を計画的に進めるため、地域ごとに河川管理者と都道府県、沿川市町村などで協議会を設けることも盛り込んでいる


▼このほど全国で初めて、鬼怒川と並行して流れる小貝川の両河川下流域を対象エリアとした協議会が発足した。初会合では、沿川市町の首長などが現状や課題を共有。予定時間を押しての議論に、減災に向けた強い決意が感じられた


▼「防災無線放送は豪雨時にかき消されてしまう」「パソコンや携帯電話を使った情報発信は有効だが、高齢者対応という点では課題が残る」「隣接市町村への広域避難も事前に調整しておくべき」。当事者だからこその教訓。今後、全国で進められる検討の手本となる新たな取り組みに期待したい。(水戸・EM)


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