コラム

2016/04/12

お城のような広い心を(茨城・HS)

お城のような広い心を


▼日本三名城の一つ、名古屋城。徳川家康が築城させたこの城は、金のしゃちほこで有名だ。太平洋戦争の空襲で本丸御殿や天守などが焼失したものの、戦後には再建され現在も名古屋市のシンボルとなっている


▼その名古屋城で今、コンクリート造の天守閣を本来の木造に建て直す復元事業が計画されている。河村たかし市長がこの計画を発表したのが2009年。そして先日、復元案として竹中工務店の技術提案を選定した。完成は20年7月末を予定。提案書は名古屋城公式ウェブサイトで公開されており、さまざまな図面にざっと目を通すだけでもワクワクしてくる


▼肝心のお値段は、と見てみると、見慣れぬ数字に思わず目を見張った。総事業費は最大約504億円。市では400億円を想定していたようで、それを大幅に上回る金額となった。ちなみに現状のコンクリート造のままの耐震改修の場合は29億円に抑えられるという


▼名古屋市の16年度一般会計当初予算の総額は約1兆856億円。さすがは大都市、小さな国家に匹敵する規模。数字だけ見れば、500億円減ったところでまだ1兆円残る計算だが、単なる足し算引き算では済まないのが行政で、計画に反対する人もいる。今後は2万人規模のアンケートで賛否を問うようだ


▼当の市長は「理にかなう」とやる気満々。歴史は好きだが関東より西にあまり行きたがらない身としては、今回の事業は観光のモチベーションになる。自分の懐が痛まないから好き勝手言えるんだ、との批判を覚悟でお願いします。名古屋の方は、何とぞお城のような広い心を。ぜひとも実現してください。(茨城・HS)


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