コラム

2016/04/26

万が一、もしかして(新潟・CY)

万が一、もしかして


▼カンジョウコウサテン――。人間模様を描くドラマのような響きだが、漢字で書くと環状交差点。この春から通勤路にお目見えした。新潟市の西の外れに小さな山がある。この山の麓に2つの海水浴場と駅への道を結ぶ三差路があった。ここがロータリー状の交差点(ラウンドアバウト)として整備された。市内では初の導入で国内では現在140カ所ほど存在する


▼環状道路は時計回りの一方通行。回転ドアですら、ともすると2周してしまう身には緊張の初体験。が、径がそれほど大きくないためか、進入時に気を付ければ、カーブした普通の交差点といった印象だった


▼担当課はその効果として、交錯点の削減やスピード抑制による安全性向上、渋滞解消などを挙げる。アプローチでは数段階に分けた案内標識がその存在を知らせ、横断歩道手前にはカラー舗装に大きく「ユズレ」の文字。供用開始後も、警備員が立つ姿が見られた


▼国交省のアンケートによると、社会実験を行ってきた長野県軽井沢町では、全体の印象として導入後「良くなった」が半数以上を占め、歩行者の安全性は約4割が「安全になった」とした。一方で、自転車利用者では「危険になった」が約4割。くだんの交差点ではまだ遭遇していないが、自転車ツーキニストの利用も少なくない。背後には低いとはいえ山が迫る。キジやタヌキの飛び出しも侮れない


▼春の交通安全週間を終え、新生活にも慣れたころだ。「普通の交差点と変わらない」と思ったそんなときこそご用心。ネクスコ東日本のCMソングを口ずさみ、気を引き締める。「万が一、もしかして」(新潟・CY)


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