コラム

2016/05/24

辛抱強く芽吹きを待つ(茨城・HS)

辛抱強く芽吹きを待つ


▼先日、引っ越しをした友人宅に遊びに行った。居間にはタイルカーペットがきれいに敷き詰められていた。ベースは木目調。黒色系がところどころ散らばり良いアクセントとなっている。四隅まできれいに埋まり、踏み心地も抜群。思わず猫のように寝転がろうとしたが、別の友人もいたので自重した


▼そういえば彼は昔から凝り性だった、と思い出しつつ聞いてみると、案の定、全て自力でやってみたとのこと。「良いだろ?」の第一声から、待ってましたとばかりに解説が始まった


▼なんでもカーペットをインターネットで探していたところ、徐々に魅入られ、やがて自分でやってみようと思い立ったそうだ。無邪気な少年のように目を輝かせ、きちんと部屋のサイズを測る、中央から張っていく、などのアドバイスがその後も延々と続いた


▼彼は建設業とは無縁な仕事をしているが、方眼紙で設計図も作ったそうで、「そんなに難しいことじゃない」と謙遜する。しかし、心の底からにじみ出ているかのような笑顔はとても印象的だった。生来人が持つ特質、モノづくりの喜びがそうさせたのだろう


▼業界で働く方々に建設業を職業に選んだ理由を聞くと、モノづくりで得られる達成感、と答える人は多い。道路、橋梁、建築物など、この先何十年と使われ続けるものを完成させた喜びは、きっと何物にも替え難い。小さいころに彼のような体験ができれば、建設業を職業に選ぶ子どもも増えるだろう。建設フェスタや建設業体験といった取り組みは、いわば将来に向けた種まき。時間はかかるが、いずれ必ず芽吹く時が来る。辛抱強く待とう。(茨城・HS)


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