コラム

2016/06/23

テック・フォースとは(埼玉・UT)

テック・フォースとは


▼国土交通省が2008年度に創設したテック・フォース(緊急災害対策派遣隊)について、活動内容をよく知っている人は少ないかもしれない。大規模自然災害発生時、迅速に被災地を支援する組織で、約8000人の職員が任命されている。このうち関東地方整備局の職員が約1200人を占める


▼東日本大震災では、発生翌日に全国から約400人が現地に派遣された。余震が続く中で排水活動や堤防、道路の被災状況把握に務めた。4月の熊本地震でも関東整備局は多数の隊員を派遣。早期復旧に向けて道路や土砂崩落の被災状況を調べ、資機材や支援物資を輸送した


▼一次派遣隊の帰還後、4月22日に活動報告会が開かれ、被害の大きかった益城町で道路陥没調査を行ったことなどが説明された。本来は道路管理者で土地勘もある町の職員が中心的に作業をするのが効率的だろう。だが現実には、自治体職員は住民対応で手いっぱいだった。同行することもほとんどなかったという


▼大きな災害が起きると、全国からの広域的な支援が重要になる。ほんの数年前、国の出先機関を廃止する検討が本格的に行われた。地方自治体が広域連合をつくり、整備局などの業務を移管する方向で議論が進められていた。仮に実現していたら、テック・フォースと同様の支援ができただろうか


▼「知る人ぞ知る」。辞書を引くと「広く知られてはいないが、ある一部の人にはその存在が非常によく知られている」とある。テック・フォースはこの言葉に該当するのかもしれない。ただ、知った人の多くは、感謝の気持ちを持っているはずだ。(埼玉・UT)


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