コラム

2016/07/29

その一票を習慣に(山梨・HK)

その一票を習慣に


▼人は年齢を重ねるごとに早起きにな る。ふと気が付くと、壁を隔てたすぐ向こうからカッコウの鳴き声が朝の涼気とともに聞こえてくる。わが家は山間地というわけでもなく、近所に森や林の小立が密集した場所も見当たらないのに


▼人間と野生動物との境目とされる里山の減少に伴い、人里に現れるクマやサルの話題は珍しくなくなった。専門家は「まずは遭遇しないこと」を提唱するが、人的・物的被害のニュースは後を絶たない。しかし肉食の傾向があるヒグマではなく、ツキノワグマの胃袋に人体の一部が残されていたとなると、また新たな問題が浮上してくる


▼人も動物も環境に慣らされる。熊も人里に餌があると知れば子熊とともに山を下り、人を餌と認識すれば小熊もそれに倣う。幼い頃の記憶は皆忘れずに頭の中にとどまっているもの


▼選挙年齢が18歳に引き下げられて初めての参議院議員通常選挙。18歳と19歳合わせた投票率は45・45%と総務省は発表した。数字の大小は議論のあるところだが、早くから主権を持つ者としてその権利を行使することは〝慣れる〟の面から言えば重要なこと


▼カッコウは、ほかの鳥類にひなを育てさせる托卵(たくらん)を行うことで有名。母親と行動を共にする子熊とは正反対の子育てと言えようが、繰り返すことにより身に付けた習性は忘れ得難いものになる。自身を振り返ってみて、初投票の際に味わった感触は記憶のかなたへ消えてしまっているが、今回、注目される中で考えに考えを重ねて投票を行った10代の若者たちにとっては、忘れられない一票となったことと信じたいものだ。(山梨・HK)


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