コラム

2016/08/11

建設職人にも賞賛を(群馬・TF)

建設職人にも賞賛を


▼フランス人建築家のル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館(東京都台東区)が世界文化遺産に決定した。世界中の建築や都市計画に大きな影響を与えたとして、17の建築作品が日本やフランスなど7カ国によって推薦されていた。日本の世界遺産は20件となり国民としては喜ばしいことだ


▼同館は1959年にフランスとの国交回復を記念して建設された。RC造地下1階地上3階建てで、延べ1万7369㎡。ピロティと呼ばれる柱で支えられた開放的な空間や、らせん状の回廊、自然光を利用した建築様式などが特徴だ


▼設計・監理には同氏の弟子である前川國男、坂倉準三、吉阪隆正の3氏が協力しているという。後に建設された新館・企画展示室は前川氏(前川國男建築設計事務所)が設計している。施工は全て清水建設(東京都中央区)が担当した


▼日本の世界遺産は文化遺産が16件、自然遺産が4件という内訳だ。16件のうち「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例」に分類されるのは10件。実に日本の世界遺産の半分が建築関連での登録となっている


▼公共事業に対して厳しい目が向けられている。税金で行われるだけにその費用は精査されるべき。国立競技場建て替えでの騒動もその一つ。政治への信頼が建設そのものに影響してしまうのは本末転倒ではないのか。過酷な施工現場での作業の中、類いまれな技術力をもって設計者の図面を形にする。完成した建物やその設計者への賞賛だけでなく、現場で日々汗を流す職人たちにも声を大にして賞賛を送りたい。(群馬・TF)


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