コラム

2016/08/20

オオカミ導入は是か非か(東京・HM)

オオカミ導入は是か非か


▼子どもの 頃、シートン動物記のオオカミ王ロボの話が好きで、繰り返し読んだ。賢いロボが伴侶であるブランカのために我を忘れるシーンに涙した。それ以来一番好きな動物はオオカミだ。日本ではもう絶滅してしまったと聞いてがっかりした


▼先日、「オオカミが日本を救う!」という本を読んだ。日本の森にオオカミを放し、生態系を回復させようというもの。捕食者であるオオカミが絶滅し、シカやイノシシが増えすぎているそうだ。鹿は非常に食欲旺盛で、草木を食べ尽くしてしまう。緑がなくなるだけではなく、土砂の流出にもつながり山はどんどん荒れていく


▼家畜などへの影響から国はオオカミ導入には消極的なようで、対策としては、まずは人の手による駆除が思い浮かぶ。だが猟をする人が減っており、思うようにいかない。ジビエ料理振興も対策の一つらしい。鹿肉などの需要が増せば狩猟も活性化する。経済効果と駆除が両立できる。ただユニークではあるが特効薬にはならない気がする


▼日本の森でオオカミの遠吠えを聞いてみたいという単純な想いもある。やはり子どもの頃に憧れたオオカミが歩いている姿にロマンを感じる。いなくなった者への郷愁なのかもしれないが


▼オオカミ導入の効果も弊害も本当のところは誰にも分からない。いや、効果も弊害もどちらもあるのだろう。そのバランスが分からないから議論をしていても平行線だ。それならばトキやコウノトリと同じように、絶滅したものを復活させるというシンプルな動機付けでもいいのではないか。そこに文句を言う人は誰もいないように思う。(東京・HM)


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