コラム

2016/09/13

耐震補強効果幅広く周知を(山梨・MK)

耐震補強効果幅広く周知を


▼甚大な被害が発生した熊本地震で、耐震補強を行っていた橋梁は落橋や倒壊などの致命的な被害が一部を除き生じなかったことが、過日の山梨県道路メンテナンス会議で報告された


▼国土交通省によると、阪神淡路大震災(1995年)を受けて、橋梁の耐震設計基準の改訂や緊急輸送道路の耐震補強などを推進。その結果、阪神淡路大震災で落橋したのは11橋だったが、熊本地震では2橋にとどまり、地震の揺れで落橋や倒壊した橋はなかった


▼耐震補強の効果例としては、国道3号跨線部は損傷したが限定的で速やかに通行可能となった。国道57号阿蘇口大橋は支承が損傷したが、アンカーバーによる補強によって損傷は軽度だった。ブロックのひび割れ状況からアンカーバーに力が作用していたことが確認されている。土木学会会長による特別調査団も「熊本地震を見ると、耐震補強などが着実に成果を挙げていることが確認された」と報告した


▼一方、熊本県や大分県で震度6弱以上を観測した地域の緊急輸送道路で「速やかな機能回復」という目標を達成できなかった橋が12あり、緊急輸送の支障となった。そのため国交省では今後、緊急輸送道路などの重要な橋について耐震補強の加速化を強調する


▼山梨県内でも橋梁の点検や補強・補修工事が進んでいるが、点検実施は計画に対して遅れ気味。財源が安定的に確保されていないのが課題という。自治体でも職員が不足し、点検の質や工事執行の体制が不十分との指摘も。熊本地震で耐震補強の効果が実証されたことを広く訴え、予算や人員確保への動きを加速させる必要がある。(山梨・MK)


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