コラム

2016/09/22

学び伝えるもの(山梨・HK)

学び伝えるもの


▼東日本大震災から5年半の月日が流れた。にもかかわらず、9月9日時点で2557人の行方が分からない。家族の心中は察するにあまりあるとともに、その災害の大きさ、津波の恐ろしさをあらためて思い知らされる


▼ことしの夏も人々は自然の猛威に振り回された。台風1号の発生が例年より遅いと騒ぎ出したと思いきや、台風に慣れていない北海道を立て続けに襲い、不可思議な動きをみせた10号は初めて東北に直接上陸した。熊本地震の被害も癒えない間に、豪雨により普段の生活が奪われてしまった


▼もはや想定外は想定内。「何があってもおかしくない」と頭では分かっているものの、さて何か備えているかといえば、そうではない人がほとんどと推察する。意識の片隅にもう一人の自分が居て「ここは大丈夫。今は大丈夫」と悪魔がささやき続けているのかもしれない


▼先頃、事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)の研修会取材に赴いた。災害や事故など不測の事態により業務が中断しないように、中断した場合でも早期に復旧できるように準備をする計画である。印象に残ったのは「わかりやすく」。日ごろから使っている言葉で、分厚いマニュアルなどではなく一覧で表記する


▼いざというときに沈着冷静な行動をとれるわけもなく、混乱する頭では適切に判断することも難しい。まずはわが身を守ることを日常の訓練で身体に覚えさせる。そして、やるべき仕事・業務は一目で理解できるように周知を図る。土砂や津波は家財を根こそぎさらっていくが、人が考え、学び、伝えていく経験や知恵は未来でつながっていくだろう。(山梨・HK)


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